海水からのリチウム回収技術の開発

海水から吸着法によってリチウムを回収する技術です

2022年5月1日、IHテクノロジーでは、愛媛大学の協力を仰ぎながら、海水からリチウムを回収する技術の開発を開始しました。

リチウムとは

リチウムは原子番号3の、銀白色の柔らかい金属で、すべての金属の中で最も軽い元素です。また、イオン化傾向が最も大きな元素でもあります。
リチウムはガラス、セラミック、グリース、冷媒、化学試薬などにも使われていますが、特に近年、注目を浴びているのがバッテリーの分野です。リチウムイオンバッテリーは今後、普及が期待される電気自動車用として、また太陽光発電や風力発電のように出力が不安定な電源の電力を平準化させるため大量に使用されることが予想されています。

リチウム資源

リチウムは地球上に比較的豊富に存在しますが、現在、経済的に採取可能なのはいくつかの高品位リチウム鉱物と塩湖水(かん水)だけで、我が国ではほとんど産出しません。
一方、リチウムは海水中に大量に溶け込んでおり、世界の海水全体に含まれる量は、2兆6,000億トン。これは陸上に存在するリチウム鉱石の埋蔵量の約15,000倍に相当すると言われています。

IHテクノロジーの技術

リチウムは海全体では大量の賦存量がありますが、それでも海水1リットルあたりでは0.17㎎しかなく、この非常に希薄なリチウムを回収するのは容易ではありません。
IHテクノロジーは得意の吸着技術を生かして海水からリチウムを回収する吸着剤の開発を進めています。この吸着剤を実用化するために次の課題の克服に取り組んでいます。

① 吸着容量が大きいこと
② 吸着・脱着速度が大きいこと
③ リチウムに対して高い選択性があること
④ 繰り返し使用した場合の耐久性が大きいこと
⑤ 大量製造が容易であること
⑥ 安価で安定供給が可能であること

気候変動対策が叫ばれる中、今後、我が国が発展するためには、安価で豊富な再生可能エネルギーに手に入れることが重要となります。そしてそのエネルギーを生かすためには強力なバッテリーが必須であり、そのバッテリー生産のためには豊富なリチウム資源の活用が必要となります。
海に囲まれた我が国で海水からリチウムを取り出すことができれば、地球環境問題の克服と我が国の世界への貢献が可能となります。IHテクノロジーの海水からリチウムを回収する技術の完成に期待してください。